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TILは東京都内の自立生活センターの支援および一般社会に向けた活動、研究・政策提言をします。

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■ イベント報告     EVENET REPORT

カッレ・キョンキョラ( Kalle Konkkolla )氏講演会

講演テーマ :『ヨーロッパとフィンラドにおける自立生活センターの最近動向』と
      『呼吸器や経管栄養を使用する人たちの治療 停止問題について』


講師:カッレ・キョンキョラ(Kalle Konkkolla)氏はフィンランド出身の呼吸器利用当事者。1972年にヨーロッパで最初の自立生活センター:スレッシュホールド(Threshold)を設立。
現在はアビリス基金(Abilis Foundation)の議長を勤める。

講師紹介:カッレ・キョンキョラ氏は、6年前はDPI会長を勤めるなど、世界の障害者運動をリードする人である。本国では今国会委員としてキングスという「自立生活センター槍の矛先」(職員数は約30人)で活動をしている。

イベント写真です。 イベント写真です。

*フィンランドの政策方向について

1977年、フィンランドで最初の介助サービスが始まるが、介助に関する法律が出来たのは1987年である。その時、私はフィンランドの国会議員になったのでこの実現に関して活動をしていた。その時難しかったのはフィンランドの左派の人たちは介助サービスの民営化を主張しつつ反対し、右派の人たちは社会サービスにお金を出す必要はないと反対していた。そこで、私たちは、「そんなにお金がかからず、障害者が地域で暮らすためのシステムがある」と両方を説得し続けた結果、制度を作ることができた。 フィンランドでは国は法律で最低限のサービスについて定めるだけで、全てのサービスは全国に300ある地方自治体によって提供される。2007年、介助サービスは権利であることが新たに法的に認められることとなり、障害者がもう施設やグループホームで暮らさなくて良いという大きな変化をもたらした。介助サービスは国にお金があるかとかないかとかの問題ではなくて、提供しなければならない義務とされているため提供が怠われた場合は裁判に持ち込んでいく。

*フィンランドの介助サービスの仕組みについて

1つは、地方自治体が障害者にお金を出してそのお金で介助者を雇い、給料、税金、社会保険を支払う。障害者は雇用主としての責務を問われる。 この仕組みによって自己決定に関する最大限の地位が得られる。その一方で、法的な義務を負うという責任と介助者をしっかり見ていかなければならない責務が生じる。 地方自治体は、30時間に関しては、理由を問わず給付する。この時間を使って、友人に会うなど様々な社会活動ができ、ほとんどの人達がこれ以上の時間数は必要ないと言う。 2つは、介助者派遣事業所からサービスを買うということ。この場合には障害者は雇用主ではなく、消費者になる。

*自立生活センターは介助派遣事業より自立支援を行っている

フィンランドには現在5か所の自立生活センターがあるが、自立生活センターは行政からある程度の運営資金をもらっており、 介助者派遣業務ではなく、主に介助サービスを利用する人達への支援、特に障害者が施設や病院に放り込まれず、地域で暮らす権利を守るための活動を行っている。 この活動の際には、障害を持つ弁護士団体から支援をもらえるシステムもある。

*障害者が雇用主となるための支援について

障害者団体は様々なサービスを提供しているが、介助サービスにおいては雇用主としてのアドバイスをする。 雇用主としてやっていける研修を「自立生活トレーニング研修」などと呼んでおり、雇用主のためのガイドブックも提供している。 研修のガイドブックには2種類があり、一つ目は最も大事で、「あなたが雇用主」なのだということ、あなたがボスで、あなたが決めるということは責任も大きいということを伝える。 障害者には、介助者はあなたの友達でもなければ親戚でもないことを伝える。特に若い人は、介助者は友人ではないのだということを分かっていない人もいるため要求を出せない時がある。 介助時間は介助者が活動しているのではなくて仕事をしている時間だということ。

*私どもの団体の活動について

私のセンターでは、3人の弁護士と、1人のソーシャルワーカーが仕事していて、年間に数千件の電話、手紙、メールでの相談を受け、助言を行っている。 ときには、我々の弁護士が行政に対して障害者の法的権利について助言をすることもある。緊急のケースもあり2週間前、一人の障害者が病院に入れられそうになった時にそれを防いだことがあった。 我々は、2つの方向で活動している。1つ目は法的問題について弁護士が活動すること、2つ目は政治的問題について私が活動する。 他にはフィンランドの障害者団体とのネットワークづくり。また個人的な活動としては、法律をより良いものに修正していく活動もしている。 首都圏のヘルシンキに別の事業所があり、そこでは介助者を雇うためのサポートをし、事前に介助候補者にインタビューをする。そして介助者のため、雇用主のためのミーティングも行っている。 介助者を雇うのは非常に大変な仕事だが、それぞれ必要な介助が違うため、我々が介助者を雇うことはせず、どのように雇うかは障害者本人次第である。

*医療的ケアについて

呼吸器を使う人の場合には医療法にもとづくメディカル医療ケアに属する。しかし、介助サービスの法律のもとに属する私のような少数派もいる。 15年間に渡って呼吸器利用者というものを医療法ではなく、社会法に置こうとする活動をおこなってきた。 フィンランドの人口は約500万人なので、小さな病院の場合は医者が頚損・脊損の患者を診るのは2、3年に1回の割合でしかない。 今のところ呼吸器センターは1箇所しかないが、頚損・脊損の人には3つのセンターがある。また他の問題は、障害者は複数の病気にかかることがあり、 一人の医者が全てを診ることは出来ず、一人ひとりの医者が少しずつの部分を診ていくことになる。なので、より医療が発展するとそれは細かいところを診るようになってしまい、 全体的に診ることが出来なくなってくる。 我々が今大学病院に働きかけているのは、複数の症状を示している人に患者マネージャーをつけるように働きかけている。 それぞれの医者が違う薬を処方した場合どういったことが起こるかは誰にも分からない。ある医師は理学療法が必要だという人がいれば、理学療法は危険だという人がいるなど意見が食い違うことがある。 そこで必要になってくるのは合理的なアドバイスをすることである。このやり方は、障害者が問題を理解してどんなオークションがあるのかを知ることが大事である。 例えば、手術が必要なのか否か。また、手術によって後遺症や副作用の可能性があるのかを知ることが必要である。

*安楽死問題について

私たち障害があると「死にたい」と考える時がある。1970年に私が呼吸器をつけた最初の3か月はもう生きていたくないと考えた時があったが、 それはまだ安楽死という言葉を聞いたことがなかったからである。だが、呼吸器は自分の人生なのだとだんだん理解し、呼吸器を付けてからが私の人生なのだと思っている。 罰として呼吸器を使うのではなくて、私の人生を救うために呼吸器を使うのである。 もちろん自殺したいと考える人を反対することはしないが、自殺を推薦することもしない。 主に障害や病気をもっている人には自殺の補助することはするのに、なぜ健康な時に自殺をすることには反対するのか矛盾が起きている。 障害者が生きているとお金がかかり過ぎるからという言い方で死ぬのはおかしい。私たちが生きていくのにお金がかかることは理解しているが、 障害者を全員殺したからといって今の経済的状況が良くなるわけではなく、社会の総生産にかかるわけでもない。 一方で、我々が必要としている介護者、看護士、医者、タクシードライバーなど「仕事」というものを社会に創り出しているのだから社会に便益を生み出している。

*出生前診断と中絶について

これは非常に難しい問題である。ただ中絶をした母親を責めたりはしない。フィンランドでは、中絶はある一定期間の時期までは無料で行っている。 中絶を認めるようになったのは非常に明白である。不法な中絶は本人にとって非常に危険である。無料での中絶は減少したが、胎児に障害があったかもしれないというところでは人権の問題に関わってくる。 妊娠中に障害を持って生まれてくるかもしれないと分かった場合には2週間の猶予が与えられこの問題に向き合わなければならなくなる。

イベント写真です。 イベント写真です。

第2部 指定討論と参加者からの質問

講師:カッレ・キョンキョラさん
指定討論:中西正司さん(ヒューマンケア協会)、塚田蒡昭さん(ILみなみTama)、小田政利さん(呼ネット)
司会:海老原宏美さん(CIL東大和)

海老原:講演会の後半部分に入ります。キョンキョラさんの話を深めつつ、日本の状況を伝えディスカッションシンポジウムの形にします。舞台上の進行は中西さんにお願いします。

中西: 北欧諸国の福祉サービスの現状について知りたい。
カッレ: スウェーデンの福祉サービスは後退しており、自立生活に関しては市町村に委ねられていて、その中でいくつかの団体だけが自立生活の活動をしている。デンマークも非常に包括的な制度があるが、それを使用し介助を受けている人の数は少ない。ヨーロッパ全体でそういったことが起こっていて、福祉が後退している。経済的なことを理由に、イギリス、ドイツ、オランダでも後退している。だが否定的なことばかり言いたいわけではなく、人権に関しての理解はヨーロッパでは非常に進んできている。フィンランドの政策決定者は障害者が家に閉じ込められることがどれだけ非政策的かを分かっているので、介助サービスは優先順位がもっとも高い。

中西: フィンランドではどのように介助サービスに権利性が確立されたのか、その過程と運動の在り方について聞きたい。
カッレ: 強調したいのは、全ての障害者団体がこの問題を最優先に考えるという活動をしてきた。他にも色々なサービスが必要だったけれども、「介助サービス」を最優先に考えた。政治的なやり方だが全て欲しがれば何も手に入らないし、何も求めなければ何も手に入らない。この時の私たちが起こした行動は、政策部、社会問題省と大臣と良い関係を作ることに努めた。 もう一つ強調したのは、施設によるケアは決して安くはないことと、フィンランドでのサービスの受給者は人口の500万人の内の15,000人という小さなグループであることを各政党、政策決定者に説明し、説得した。

中西: フィンランドの介助料はどれくらいに設定されているのか、そして海外旅行について介助サービス利用は可能なのか?
カッレ: フィンランドでは月に30時間自由な時間が提供される。3年前に介助者を雇っている障害者が雇用主組合を2,000人で結成した。国の労働者組合と協力して、会社の給料がいくらに設定するかは、市町村ではなく雇用主組合が決める。旅行に関しては気軽にできるようになった。全体で8週間の介助を使う中でどの様に1週間、2週間の旅行でその時間を使うかを決めることが出来る。

中西: 介助料は一般的に生活できる水準に設定されているのか?
カッレ: 介助者の給料に関しては、病院で働いている人と同じくらいの給与になっている。お金持ちになるわけではないが、生活していくには十分なお金である。 雇用主組合に入っていない人は市町村から決められた金額になるが、市町村での介助料の平均は大体8ユーロである。雇用主組合での介助料は、1時間あたり10.7ユーロ(約1300円)程度である。

塚田: 日本の自立生活センターの大体は、介助サービスをメインとしている所が多い。それ以外は、障害者のための相談、自立生活プログラム、ピアカウンセリングを特化した事業とかで運営している。フィンランドのCILの運営の仕分けを教えてほしい。
カッレ: 運営費の40%は政府からの障害者団体やNPO団体に対する助成金。さらに、私の団体は、フィンランドの外務省から国際協力の資金として運営費の40%をもらっている。残りの20%は、財団、小口の資金である。

中西: 現在、イギリスで鼻マスクは許されるが、その後気管切開に移行する段階では治療を停止することになっている。日本でのALS患者の場合は、病気が進行すれば鼻マスクでは生命維持はできず、気管切開をして生きている。だがイギリスと同じ法律が施行されるとALS患者は鼻マスクだけで最初の数か月で死に至らされるという状況になる。実際我々が恐れているのは、治療停止がおこなわれる背景にはALS患者の24時間の十分なケアが提供されていないというサービス実態があり、家族への負担が大きくなるため治療停止を申し出る当事者が多いのが現状。日本では方向転換をして障害者自身が呼吸器を付けて暮らす権利を認めさせる方向に向かおうとしている。
小田: 日本で呼吸器を付けていて、家族に迷惑をかける情報しかなかったし、実際そういった情報しか入ってこなかった。なので、自分自身は医師には呼吸器を付けないでほしいと伝えおり、現に呼吸器を付ける段階では医師から家族には「二度と意識は戻らない、植物状態になりますよ」と伝えられていた。なので、今回の尊厳死法案が通っていたら、私は法律通り私はこの世にいなかったでしょう。フィンランドではどういう状況なのか伺いたい。
カッレ: 1970年代のことになるが、私は医療的ケアを偶然使い出したが、筋ジス患者が呼吸器を使用している人はほとんどおらず、ほとんどの人が肺炎を理由に亡くなった。医師が呼吸器を付けることに反対していた70年代に、私は呼吸器を付けるという活動をして何人かの命を救った。その後、意識啓発の活動で医師の態度も変わってきてより多くの筋ジス患者が呼吸器を使えるようになった。昔は、呼吸器は命を救うために使われていたが、今では呼吸器を付けるということは病気の予防として簡単に使うようになった。
    
中西: 日本では1970年代から人工呼吸器を付けて地域で暮らす人達が出てきて、今はときどき町で見かけるほど多くなっている。そういうエビデンスを重ねて行くことが、必要な介護サービスを確保する一番の方法ではないかと思う。
小田: 人工呼吸器の管理を介助者がどの程度おこなっているのか?自分の場合だと、喋る時、カラオケ行く時、酔っぱらった時、泥酔した時とで呼吸器の設定を変えたりするので、介助者に説明をする。フィンランドではどのように呼吸器を管理しているのか?
カッレ: フィンランドではアルコールを飲むことは法律上OKで、介助者が飲酒をアシストすることも介助者の仕事である。そして、呼吸器の調整は全部介助者がやるようにしている。

中西: 日本では呼吸器ケアについての介助者トレーニングは法的に義務付けられているが、フィンランドでは在宅ケアの世界になると、呼吸器についても全て障害者が管理責任者になって、国や行政ではなく、障害当事者によって介助者研修が行われる。それが重要で、日本は、介助者について研修とか一般の重度訪問研修などについて国家が品質管理をしているが、フィンランドは労働組合の雇用条件という、障害者が介助者供給組合に入った限りはきちんとそこで障害者が管理をすることになっている。

中西: 発達障害、知的や精神障害の自立制度について
カッレ: フィンランドの制度では、発達障害者は家族と暮らす、施設、グループホーム(GH)の3つの選択肢がある。GHは6~10名の人が生活するという形でできている。そしてフィンランドでポピュラーになっているのは、若者の知的障害、発達障害者が小さな協議会を作ってそこで家を作り、6~10名の人が暮らすという形が広がってきている。フィンランドでは同じような知的障害者の団体はあるが地域での自立生活の活動はまだしていない。精神障害の人で介助を使っている人はほとんどいない。

海老原: 雇用主となるためのトレーニングについて。
カッレ: フィンランドでは雇用主となるためのトレーニングは義務付けされている。 障害者が介助者を使うという意識がないとうまくいかない。他の分野としてはその人の自分に対する尊厳であるとか、介助者を助ける責任についての厳守というもの。もう一つの研修は技術的なものである。どうやって介助料(給料)や税金、社会保険などを計算するかという技術的なものがある。また、雇用主とのミーティングも開いている。 利用者と介助者の間で問題があったときは、自立生活センターが問題解決のサポートには入ることがある。介助者の権利も必要な場合には伝える。例えば、介助者が嫌いだからといった感情だけでは介助者を見切らない。介助者を追い出すこともできるが、そうしてしまうと2,000ユーロがかかる。法的な解決方法が必要であれば、法的に解決できるように支援する。
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