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TILは東京都内の自立生活センターの支援および一般社会に向けた活動、研究・政策提言をします。

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■ イベント報告     EVENET REPORT

平成26年度第3回TIL学習会「『障害支援区分』認定調査を体験しよう!」

2014年4月から障害支援区分の導入が始まりました。
障害支援区分とは、障害福祉サービスの必要性を明らかにするために、 障害がある人の心身の状態を総合的に示すため区分です。区分1から区分6までありますが、区分の程度によって得られるサービスが異なります。 「障害者支援区分」導入の前に使用されていた「障害程度区分」とは何が違うのか、認定調査のポイントは何かなどを知り、 より良いサービスを得ることを目的に学習会を開催しました。

  【日時】 2015年1月22日(木)13:30~16:30
  【会場】 東京都多摩障害者スポーツセンター(東京都国立市)
  【主催】 東京都自立生活センター協議会 【プログラム】
   1. 講義「障害者支援区分について」
   2. 「認定調査を体験しよう!~シミュレーション」 参加者2名がモデルとなり、
    認定調査の擬似体験を行いました。
    3. 質疑応答 【参加人数】 16名
  【参考資料】 「障害者総合支援法における障害支援区分 認定調査員マニュアル
           [ダウンロード(PDF765KB)は上記をクリック]
【学習内容】
 1. 講義「障害支援区分について」(堤愛子氏、町田ヒューマンネットワーク理事長)
 (1) はじめに
  ・ ピアリーダーは、区分認定調査を受ける人の相談にのることがあるため、
    障害支援区分について理解しておくことは大切。
  ・ 利用者からの相談に対し、シミュレーションソフトを使いながら区分認定の
    ポイントを伝えている。例えば「区分6はどのような障害状況か」
   「重度訪問介護を利用できる区分4の状況はどのようなものか」
   「知的障害があり生活介護を利用したいが、そのためには区分3以上でないと・・・」
   等の相談がある。
  (2) 障害者支援区分が制定されるまでの背景
  ・ 2006年4月に自立支援法が開始し、応益負担(1割負担)を導入。
  ・ 1割負担が障害者の生活を圧迫することを訴え、2008年に自立支援法違憲訴訟が起きる。
  ・ 2010年1月に訴訟団と弁護団の基本的合意がなされる。合意の中で平成25年8月までに
   障害者自立支援法を及び応益負担制度を廃止することが明記。
 ・ 基本合意に基づき、2010年1月障害者制度改革推進会議設置、4月総合福祉部会設置。
 ・ 2011年8月総合福祉部会委員による「骨格提言」作成。本提言は障害者や家族の立場を
   踏まえた画期的なもの。
 ・ しかし骨格提言はほぼ無視された形で、2012年10月自立支援法つなぎ法が制定。
   現実的には応益負担が残っている状況。
 ・ 2013年4月総合支援法開始。それに基づき、(自立支援法時代の障害程度区分から)
   障害支援区分制定へ変更。
 (3) 総合支援法になってからの変更点
 ・ 対象が拡大。身体、知的、精神、発達障害に加えて、難病の人も福祉サービスの対象に。
 ・ 障害程度区分から障害支援区分へ変更。(本日のメインテーマ)
 ・ 重度訪問介護サービスの対象者拡大。「身体障害」のみから、知的、発達障害、
  精神障害者も利用可能に。しかし「行動障害」をもつものに限定。
 ・ ケアホームとグループホームの一元化。「グループホーム」の呼び名で統一。
 (4) 障害支援区分とは
 ・ 障害支援区分とは、障害福祉サービスの必要性を明らかにするため、
   障害者の心身の状態を総合的に示す区分。介護給付のみ設定。訓練等給付には不要。
 ・ 区分程度により、サービス内容が決まる。例えばヘルパー利用(身体・家事)は、
   区分1以上。生活介護は、区分3以上(50歳以上は区分2から)。行動援護は、
   区分3以上。重度訪問介護は、区分4以上。
 ・ 自立支援法時に障害程度区分認定を受けている人も、次回の更新時は
   障害支援区分認定調査を受けることになる。
 (5) 障害程度区分の課題、及び支援区分になってからの変更点
 ・ 障害程度区分は、身体障害に関しては比較的適切に状態を反映していたが、
   知的、精神については認定審査会で区分が変更になることが多かった。
  そのため、「認定調査員や市町村審査会委員の主観によって左右されにくい客観的な基準
  とすること」を目指し変更された。
 ・ 認定項目の整理:従来の106項目より80項目に変更。
 ・ 判断基準の見直し:障害程度区分は「できたりできなかったりする場合」は
  「より頻回な状況」に基づき判断していたが、障害支援区分では「できたり
  できなかったりする場合」は「できない状況」に基づき判断することになった。
  また、慣れている場所では可能でも、慣れていない状況や初めての場所では
  できない場合は、「できない」と判断される。また、施設入所や家族との同居等
 「普段過ごしている環境」ではなく、「自宅で単身」を想定した上で判断される。
 ・ 行動障害の判定基準:
   従来の行動障害関連質問12項目で「8点以上」から「10点以上」に変更。
 ・ 行動障害で重訪が使えるようになった。
 ・ 「まひ・拘縮」に関し本人への聞き取りを行わず、医師意見書での対応に変更。
 (6) 支援区分判定の流れ
 ・ 一次判定:コンピュータ判定(医師意見書の一部を含む)
 ・ 二次判定:認定審査会(特記事項、医師意見書)
 (7) 認定審査マニュアルについて たとえば以下のような認定基準がある。
 ・ 「立位」の判断は、「平らな床の上で10秒立つことができる」か否か。
 ・ 「座位保持」は、10分以上座っていることができるか。
 ・ 「片足立ち」は、1秒以上片足を浮かせることができるか。
 ・ 「歩行」は、5メートル以上歩くことができるか。
 ・ 「食事」は、自分で食べることができても、食べやすいよう刻んでもらう場合は
   「部分支援」となる。
 ・ 「行動障害」の質問事項が多い。ここ1ヶ月以内の状況を回答。
 (8) 本日資料について ・ 配布資料については、「障害支援区分認定マニュアル」
  「障害支援区分に係る各種マニュアル」「障害支援区分シュミレーター しはん代」等の
  キーワードでネット検索すると、オンライン入手可能。

2. 「認定調査を体験しよう!~シミュレーション」
・ 精神障害がある参加者と身体障害がある参加者の2名がモデルとなり、シミュレーションを
  実施。
・ 認定調査マニュアル、認定調査票を使用しながら堤氏が質問し、参加者は自身の状況を
  伝えた。
・ 回答項目は、「できる」「見守りが必要」「部分支援」「全面支援」という介助の程度を
 答える項目や、「頻繁におきる」「1週間に1度」「1月に1度」等頻度を答える項目がある。
・ 答えにくい質問に対しては、堤氏が認定調査マニュアルを参考にしながら具体例を示し、
 より本人の状況に沿った回答を導いた。
・ 程度区分では6だった人が、支援区分では5になる傾向あり。他方、区分2~4の人は、
 答え方に留意し(できたりできなかったりする場合を)きちんと答えれば、
 区分は上がりやすい。
・ 特記事項に詳細を記入し、医師意見書の中で支援の必要性が強調されれば、二次判定で
 考慮され区分が上がることがある。

3. 参加者からのコメント
・ 頻度を答える項目の中で、回答が難しいものがあった。例えば、昨年はそのような状況
 だったが、現在はその状況がおきない場合、どう答えればよいか戸惑った。
 →(堤氏より助言)調査では「この1ヶ月以内の状況」と言及されているが、
  確かに悩ましいと思う。
・ 調査内容はシビアで、回答に困る質問がある。特にプライベートや性格面に関する
 ことは、どこからどこまでが問題になるのか。相手の受け取り方によって異なる。
 →日常生活や社会生活に支障がでるか、または支援が必要か、ということが判断基準。
  実際の認定調査では、調査者は今回のように詳細に尋ねないため、調査者の受け取り方で
  評価が異なる。そのような場合、特記事項の欄に詳細に書いてもらうことが大切。
・ 重訪を利用する区分4の人が、認定調査にて区分3になり重訪が利用できなくなる状況が
 起きると困る。認定調査での「できる」「できない」の考え方を利用者に意識して欲しい。
 あまりに単純に「できる」と答えると、区分が下がる可能性があるため注意したい。
・ 支援区分では、自宅等の慣れた場所以外で出来なければ「できない」と判断される。
 しかし、調査者が、単に質問項目を読み上げるだけならば、回答者は自宅での様子を
 答えるものと思ってしまう。それら留意点を利用者に伝えたい。
 →「できたり、できなかったり」「慣れない場所で」という点を留意するように。
・ 仕事の中で関わる人は重度の区分6の人が多い。その中で、区分5に下がってしまい
 介助時間数が減ったため、再度認定した事例がある。認定調査を受ける人と事前に
 シミュレーションを行い、抑えるべきポイントを把握したい。
・ 特記事項記載についてだが、口頭で伝えても十分に記載されなかったり、特記事項として
 受け取ってもらえないことがある。そのため、自分で書いたものを調査者に渡している。
・ 区分の境目(どこをどう答えたら、どのように区分が変わるか)を利用者個人が把握する
 ことは難しいため、ピアリーダーとして支援したい。
  →抑えるべきポイントは個々で異なるため、相談者・利用者個々のシミュレーションを
   行い、ポイントを把握し、本番に臨むとよい。
・ 計画相談業務において、知的障害がある人に関わることが増えた。知的障害がある人を
 サポートする中でどのような支援がよいか、どのような制度が利用できるか学びたい。
・ ヘルパーを利用したことがなく、障害支援区分・程度区分判定の経験がない。本学習会で
 初めて学んだ。障害者自立支援法が総合支援法に変わったことで、どのように認定区分が
 変わったのが理解できた。今後も学んでいきたい。  
  →ネットにて「しはん代」をダウンロードし、自身でやってみるとよい。
   認定マニュアルもダウンロード可能なので参考に。
・ 本年4月30日で自身の区分が更新されるので、認定調査について知りたく参加した。
 こういうものは、自分が理解した上で他者に説明できると思う。シミュレーションソフトは
 複数あるので、複数試し把握した上で、利用者に説明していきたい。
・ どこで、どのように点数が変わるのか考えた。しはん代の表を見ると、項目毎に点数が
 表示されるので、どの項目が高得点になるか傾向・特徴を理解し、利用者に伝えたい。
  →例えば、「排尿」は「全面介助」だと20.1点、「部分介助」だと11.6点。
  「排便」は「全面介助」だと19.9点、「部分介助」だと10.9点。
・ 回答に「できない」という選択肢がない。「できない」=「全面支援」ということか。
・ 判断と動作の関係の解釈が難しい。
 例えば「調理」について、メニューは伝えられるけど、調理することはできない場合は、
 部分支援になるか全面支援となるか。判断はできるが動作ができない場合どう判断するか、
 そして、その判断がどのように影響するか。例えば調理の場合、部分支援と判断する
 9.4点になり、全面支援と判断すると20.2点となり、大幅に点数が異なる。
  →支援区分は始まったばかりなので、実際にどのように判定されたか多数の人の傾向を
   掴み、それらの情報を皆で共有し合う必要がある。
講師の堤氏の写真
     講師の堤氏               司会の野口TIL事務局長

  
 (シミュレーションを行っている様子)           (参加者の様子)

                    以上です。

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